凡事徹底~鍵山秀三郎先生、往生す

今年もあっという間に2ヶ月が過ぎ、3月に入りました。今年の冬は各地で大雪に見舞われ、僕が月に3回出張整体施術にお邪魔している北広島町芸北地域では1メートルを優に超える積雪になっていました。僕の愛車は三菱デリカなのですが、それでもスタッドレスに履き替え、チェーンも積んで行きます。そんな雪道対策はもちろんのこと、カー用品はイエローハットに決めています。なぜならイエローハットの創業者、鍵山秀三郎先生を陰ながらお慕い申し上げているからです。

(鍵山記念館 ホームページより)
(鍵山記念館 ホームページより)

その鍵山先生は1月2日に天に召されました。鍵山先生のことは知っていらっしゃる方も多いと思いますが、会社経営者としてはもちろんのこと、掃除でも有名な方です。
かつて、広島ではえびす講というお祭りに数百人の暴走族が集まり、ある意味名物化していたようなのですが、その暴走族の子たちを解散に導いたのが、何を隠そう鍵山先生だったのです。鍵山先生は県警本部長に協力をもとめられ、彼らと一緒に町を掃除したのです。当時の暴走族のリーダーが「こんなに一生懸命な大人は初めて見た」と改心し、暴走族を解散させたのです。

数年前に、僕は鍵山先生と二人きりでお話させて頂く機会があり、その際「先生が経営者として最も大切にしていることは何ですか」と質問させていただきました。先生の答えは「人の心が荒まないことが大事です。そのために人を信じ、無駄な競争をさせないことが大切です」と答えられました。
かつて、妻と僕の共通の師でもある先生(故人)にも同じ質問をしていましたが、その先生の答えも「人を信じることだ」でした。
人に信じられて心が荒む者はなく、人を信じられなくなると自分の心は荒んでくる。
僕が尊敬するお2人ともに「人を信じること」と僕に教えて下さいました。
また、鍵山先生は今の社会でよく耳にする「費用対効果」や「コスパ」「タイパ」という類の成果主義や効率化、無駄を省くといった意味合いの言葉とは全く逆の言葉を残されています。
「大きな努力で、小さな成果」
「結果をすぐ期待しない」
「わざわざに価値がある」
「便宜主義が堕落の始まり」
また、権利を過剰に主張するようになった今の世の中に対しては
「与えられた枠は出来るだけ小さく使う」
と仰っています。
お仕事柄ホテル等にご宿泊されることも多々あったと思うのですが、ホテルに備えられているアメニティーは「出来るだけ小さく」どころか、一切使うことが無かったというのです。
また、周りにいた方からはこんな声も聞かれています。
「先生がカレーを食べたお皿は何もよそってなかったかのようだった」
「先生が草抜きをした後はまるでイナゴが大量発生したかのように1本も残っていないどころか、抜かれた草はこれから出荷される野菜のように整然と並べられていた」
常にそれに携わる人、社会、世の中に対し自分ができることは何でもやるという生き方を実践されてこられました。
これらの全ての事例を表す先生の代名詞のような言葉があります。
「凡事徹底」
誰でもできる、簡単な、単純なことを極めていく。という意味です。
目新しい商品や、特別な方法、最新のAIなどといったものも世の中には必要なのかもしれませんが、
「単純なことに意義と価値を見出す」ことこそが、誰にでもできて、本質を見失わないための秘訣なのではないでしょうか。
この場をお借りして、改めて鍵山秀三郎先生に心から感謝を申し上げ、ご冥福をお祈りいたします。

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