皆さんはGWはどのように過ごされましたか?我が家では毎年、妻の実家の田植えです。 今年は天候にも恵まれ、5月3日、4日にうるち米(普通のご飯の米)の田植えを済ませました。
僕は農家の出身ではないので、農作業はほとんどやったことが無く、妻と結婚して広島に来てから手伝うようになりました。あくまでも手伝いなので、やって欲しい作業を義父・義母から指示され それをやるということ。田植えでも稲刈りでも農機を使いますので、農機を運転することが主な僕 の仕事でした。
しかしながら、2020年に義父が急逝し、それからは米作りに関しては義母に確認しながらほとん どの作業を僕と妻がやるようになりました。するとそれまで見えていなかった仕事があるわあるわ!
例えば、田植えをするには苗を用意しなければなりません。近所の農家さんはほとんどJAから苗を買ってますが、義父は苗は買わずに育ててました。育苗箱という60㎝×30㎝くらいのトレイ型の 箱に土を入れ、籾(もみ)と呼ばれる籾殻をつけたままの米を撒いてその箱の中で苗になるまで育 てるのです。
しかも、その前に発芽する籾なのかどうかを調べるために塩水選という作業があります。生卵が 水中でとどまる程度の塩水をつくり、そのなかに籾を浸し、浮いてきたものは発芽しない籾なので 取り除くのが塩水選です。
塩水選をして発芽する籾だけを今度はぬるま湯に数日間浸し、それからようやくクルクル回す手 動式の籾撒き機を使い、籾撒きをするのですが、籾に水分が多いとくっついてうまく撒かれない ので、数時間乾かす必要があります。
それから、やっと籾撒き。土を入れ、籾を撒き、さらに土を入れます。それからたっぷりの水をあ げ、育苗機に入れます。育苗機というのは何段にもなった棚に籾撒きをした育苗箱を入れ、下か らスチームサウナの原理で温めて発芽しやすい状態を作る装置です。昔は苗代という苗を育てるための場所を田んぼの一部に作り、そこで育てていたのだそうです。僕の出身地である福島県には猪苗代湖で有名な猪苗代という地名があり、幼いころから目に耳にしてきましたが、苗代ってそういうことだったのかと知ったのは米作りをするようになってからです。
と、ここまで詳しく書きましたが、まだ苗は育ってない段階ですよ。これと同時並行的に田んぼの準備もあります。田起こし、水を入れるための水路の掃除、田んぼの周りの除草、代掻き(通常2 回)、そうしてようやく田んぼに苗を植えられるのです!
今は田起こしや代掻きもトラクターでやるので、まだ全然楽ですが、これが数十年前までは牛を 使ってやっていたことを考えると、気が遠くなりそうです。
ここからごはんとして皆さんの口に入るまでを想像してみて下さい。
もちろん、ごはんだけじゃありません。野菜、果物、肉、魚、惣菜もすべて実際には目にしないところで、たくさんの方々のたくさんの労力と作業、たくさんの時間、たくさんの思いがあってようやく 各ご家庭に届き、またそれらをつかって料理してくれる人がいて、やっと食べられるんです。
漫才師 笑い飯・哲夫さんのラジオ番組「サタデーナイト仏教」で”おかげ様”というのは日の当た らない、目に見えない陰でたくさんの方々の働きがあってこの事物がある。だから”おかげ様”なんだと。
米作りをすることになってから、やっと”おかげ様”の意味を身をもって知ることができました。それ もこれも農業の”の”の字も知らない僕に一から教えてくれた妻の両親のおかげです。