自分との折り合いのつけかたを学ぶ バランスからだ塾

2026年度のバランスからだ塾では新しい試みとして、「農業体験コース」を始めました!

これは田植えや稲刈りといった単発での体験ではなく、4月から10月にかけて米や野菜の栽培を体験してもらうコースです。

募集をかけたらすぐに満席になるほど反響が大きく、単に運動や勉強だけではなく、こういう体験型の学びを求めていた人が多いことが嬉しかったです!

第1回は「足踏み代掻き」と「サツマイモの苗植え」。

第2回は「苗の手植え」をしました‼️

畑の土の中からはコガネムシの幼虫がたくさん出てきたり、田んぼのヌルヌルが苦手だったり、カエルの卵が気持ち悪かったりと、あっちこっちから「ギャー!」という悲鳴が聞こえてましたが、みんな最後までよく頑張ってくれました!

さて、3月には僕の地元、福島県郡山市で「バランスからだ塾@郡山」を開催してもらったのですが、参加された特別支援学校の先生が大変喜んでくださって、こういうことを現場でもっと多くの人が知っていれば、生徒も親御さんも、そして先生方もきっと喜んでくれるはず!と仰ってくれました。ただ、どのように説明すれば良いのかが難しいから、もうちょっとシンプルに言語化してもらえませんか?とのご要望がありました。

そこで今回は、改めて深く考え直してみました。

バランスからだ塾は2013年の開校以来、「自分の知らない自分に出会う」というテーマを掲げ、さまざまな言葉で説明してきました。しかし、正直なところ、その本質が十分に伝わりきらないまま、ここまで来てしまったように感じています。

これまでバランスからだ塾では、武術研究家の甲野善紀先生、中国武術の韓氏意拳、沖縄空手の座波心道流空手道、そして小関勲先生のバランス理論などをベースに、公教育の体育や一般的なスポーツとは異なる価値観から「運動」を捉え、さまざまなオリジナルメニューを実践してきました。

もちろん、体を動かすことそのものを楽しんでもらいたいという思いはあります。

ですが、それ以上に大切にしてきたのは、運動を通して、子どもたちの中に浸透している「こういうものだ」という当たり前や常識とは違う価値観や世界があることを知ってもらうことでした。

ただ、その必要性については、「ケガをしにくくなる」「運動が楽しくなる」という部分までは伝わっても、その先まではなかなか届いていなかったように思います。

また、価値観という点では、バランスからだ塾では「できる」「分かる」だけでなく、「できない」「分からない」にも価値があるということを伝えてきました。

しかし、「それがなぜ大切なのか」という問いに対して、自分自身、十分に言語化できていなかったと感じています。

そして、考え続けた末にたどり着いた一つの答えが、「自分との折り合いのつけ方」という考え方でした。

今は、時代の変化が非常に速い時代です。AIの登場によって、そのスピードはさらに加速しています。これまでにはなかったような人災的な自然災害や社会的不安も増え、社会構造や生活環境、働き方、学び方まで、大きく変化し続けています。

まるで幕末から明治維新のような大転換が、いつ起きてもおかしくない。いや、すでに始まっていると言えるのかもしれません。

これまで「正しい」とされてきたものがそうではなくなったり、学んできた知識が更新されたり、価値観そのものが大きく変わっていくことも十分にあり得ます。そして、それはむしろ自然な流れなのだと思います。

そんな社会をこれから生きていく子どもたちに、何を伝えるべきなのか。

たとえば、今が幕末だとしたら、これから明治維新のような社会変革が起ころうとしている時代に、これまで通り「武士の教育」だけを続けていて本当にいいのか――そんな問いに近い感覚です。

たとえ時代が大きく変わり、社会の構造や価値観、力関係が変化したとしても、人は「自分」から離れて生きることはできません。

そんな時、自分自身を見失ったり、パニックになったり、情報に振り回されてしまっては、どれだけ勉強ができても、良い大学を出ても、お金を稼いでいても、スポーツで結果を出していても、本当の意味で力を発揮することは難しいと思うのです。

思考、感情、体の反応――それらがバラバラでは、物事はうまく噛み合いません。

そして僕は、「自分」という存在は、一人で成り立っているのではなく、

  • 「頭の中の自分」
  • 「心の中の自分」
  • 「体の自分」
  • そして「それらを見ている自分」

という、“4人の自分”によるチームプレーなのではないか、という考えに至りました。

バランスからだ塾の「バランス」とは、この4つの要素のどれか一つが強くなりすぎるのではなく、それぞれが十分に働きながら、うまく折り合いがついている状態――つまり「ちょうどいい感じ」のことだと考えています。

具体的には、壁登りや棒渡り、鬼ごっこなど、「少し怖い」「少し痛い」「少しプレッシャーがかかる」といった状況の中で、その感覚や感情に飲み込まれず、自分と折り合いをつける経験を重ねています。

自分の中で折り合いがつかなければ、他者(人・物・環境)とも折り合いをつけることはできません。

“4人の自分”の折り合いをつけることこそが、先行きの見えない変化の激しい時代を生きる上で、もっとも基盤になる力なのではないでしょうか。

だからこれから、「バランスからだ塾って何をしているの?」と聞かれたら、

「身体活動を通して、自分との折り合いのつけ方を経験する場です」

と答えようと思います。

農作業の中でも、疲れや暑さ、面倒くささを感じながら、それに振り回されるのではなく、“4人の自分”と折り合いをつけながら作業を進める――そんな経験ができていたのではないかと思います。

バランスからだ塾は、これからも子どもたちが、自分と折り合いをつけながら、

たくましく生きていける土台を育てていきたいと思います!

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